Major Research Breakthrough: A New Biomarker for Parkinson’s
マイケル J フォックス財団のWebinarで紹介された内容です。


治療法開発を加速する
バイオマーカーとは、病気などのリスクや病気の開始、進展を示してくれる生物学的な指標です。
例えば心臓病のバイオマーカーの一つとして、コレステロールレベルがあります。
パーキンソン病のバイオマーカーは、以下のことを助けてくれます。
・パーキンソン病の診断が早くできる
・パーキンソン病の進行をチャート化できる
・臨床研究、治験のデザインをしやすくする
・新しい治療法の可能性を評価できる

α-synuclein:パーキンソン病のたんぱく質
+ α-synucleinは、正常の方の脳や体全体に存在していることがわかっています。
+その、基本的な機能は不明です。
+パーキンソン病では、このαーsynucleinが、異常な形で蓄積し始めます。
+べたべたした状態になり、細胞のごみ処理システムでは除去できなくなる
+細胞の機能に影響を及ぼし、機能不全に陥る

新しいバイオマーカーは、このタンパクの活動性を表します。
異常なα-synucleinが存在すると、最初は正常であったα-synucleinも、異常な活動をするようになる可能性があります。

α‐synuclein シード増幅アッセイ(SAA)
① 研究室で、正常のα-synucleinを合成します
② ①の正常αーsynucleinと、マイケルJフォックス財団のPPRI研究参加者から得た脳脊髄液(CSF)を混ぜます
③ もし、正常のα-synucleinが、凝集しだせば、パーキンソン病が存在することがわかります。

2022年、このアッセイで、1123の脳脊髄液サンプルが試されました。
550+ パーキンソン病の参加者
160+ コントロール(対象のボランティア)の参加者
350+ 個々の、パーキンソン病リスクのある参加者

テストは、PDを正確に検出しました
パーキンソン病患者からのCSFでは、93.3%が、SAAで陽性(異常)を示しました。
パーキンソン病ではない人やリスクがあるとされた方では、陽性が5%以下でした。

遺伝性PDコホートは、異なる結果を示しました。
上から、特発性(Sporadic)、LRRK2、GBA

パーキンソン病のリスク因子を持つ人たちにおけるSAA陽性率
臭覚低下並びにDAT Scanでの低下が認められる例: 88.8%
レム睡眠時行動異常並びにDAT Scanでの低下が認められる例: 84.8%
LRRK2遺伝子バリアントを持つ例: 8.8%
GBA遺伝子バリアントを持つ例: 7.2%

治験のスピードを加速、効率化し、安価にできる
① 治験に適した患者集団を選ぶことができるようになる
② 評価方法が明確化でき、治療法の効果を評価できる
③ パーキンソン病を予防できる治療法の試験のステージを、
現行よりも早い段階から検出できるようになる

次は何につながる?
+ 治験にこの試験系を組み込む
+ 病気の進行度やPDリスクの検出方法の最適化
+ CSFのみならず、皮膚や血液などの組織の利用可能性の検討
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